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『休み時間の過ごし方 地方公立中学校における文化とアイデンティティをめぐるエスノグラフィー』
¥2,420
『休み時間の過ごし方 地方公立中学校における文化とアイデンティティをめぐるエスノグラフィー』團康晃、烽火書房フリントブックス 2025年2月発行、4月発売、2200円(+税)、並製本324ページ、四六判 文化とアイデンティティが織りなす休み時間へ。 「調査者」として地方公立中学校に通い、生徒たちとともに日々を過ごした著者によるエスノグラフィー。 何気なく学校に居ること、特に授業ではなくその隙間である休憩時間、「休み時間」の経験がいかなるものなのか調査することを通して、学校に居ることの意味を問い、外の文化が学校の内側にどう持ち込まれているのか、学校の中でどのように文化やアイデンティティが育まれているかを明らかにする一冊。 学校という制度が人びとにもたらしている多種多様な経験の中で、これまで光をあてられてこなかった休み時間に光をあてる。 著者が2020年に東京大学大学院学際情報学府に提出した博士論文(『休み時間の社会学:相互行為、成員性、メディア』)をもとに、著者がどのようにフィールドに入り、生徒たちと関係性を築きながら休み時間を研究していったのかを辿る「体験記」として再構成。学校現場に携わる関係者だけでなく、学校という場所に関心がある人、研究アプローチに関心がある人へも薦めたい一冊。 (大阪経済大学研究叢書98冊) もくじ 0.はじめに 第1部 「休み時間の過ごし方」の発見 第1章 「休み時間の過ごし方」という主題 1−1.「共に在ること」:公共空間としての休み時間 1−2.「グループとなること」:その図式があることと、その当事者になること 1−3.「道具が用いられるということ」:アジールとしての本、バトンとしての本 1−4.本書の主題 メモ1「休み時間」とは何か 第2章 フィールドの背景と調査の過程 2−1.中学校をフィールドとすること 2−2.渚中学校について 2−3.中学生の一日の流れ 2−4.調査に入るまで 2−5.調査の内容について 2−6.学校の中の調査者 メモ2 教室とクラスとHR 第3章 学校に集まる人びとへの幾つかの関心:先行研究について 3−1.「学級経営論」「集団づくり論」と「教育社会学」 3−2.生徒を類型化する:生徒文化研究の展開 3−3.若者文化の流入する場としての学校:「生徒文化研究」のその後 3−4.日本におけるサブカルチャーグループエスノグラフィーの展開 メモ3:「授業時間」と「休み時間」 第4章 「休み時間の過ごし方」を見る方法 4−1.グループインタビューのための「グループ」作りをめぐって 4−2.学校という社会の中でインタビューに答えるということ 4−3.カーストとしていくつかの「グループ」を描く 4−4.カーストとして「グループ」を描かない 4−5.「インタビュー」を「からかい」に変える 4−6.調査者による「グループ」の設定ではなくメンバーによる「成員性」の観察へ 4−7.常に適切なカテゴリーと共成員性 メモ4:学校に持ち込まれる「モノ」、持ち込まれる「アイデンティティ」 第2部 「休み時間の過ごし方」の探究 5章:学校の中でケータイ小説を読むこと 5−1.学校の中の「読者」へのアプローチ 5−2.ケータイ小説の「読者」であることをめぐって 5−3.ケータイ小説読者としての「女子」:作品を通した恋愛語り 5−4.ケータイ小説と「男子」:「エロ」いものとしてのケータイ小説 5−5.例外的な男子のケータイ小説読者 5−6.まとめ メモ5:「アイデンティティ」を「見せること」 第6章:学校の中で物語を編むことについて 6−1.物語が書かれたノートとの出会い 6−2.「オタク」であることと校内放送 6−3.教室の中で物語を書くこと 6−4.共同で大学ノートに物語を書くこと 6−5.大学ノートをきっかけに廊下に集うこと 6−6.廊下に集うことへのまなざしと、それでも廊下に集まり続けること 6−7.まとめ メモ6:「ヘテロトピア」としての「休み時間」 第7章:学校の中で「リーダー」になれること、「凡人」であること。 7−1.「リーダーになれる」:専門委員会委員長立候補をめぐって 7−2.「俺は凡人だから」:委員会立候補期間の終わり 7−3.「生徒会」のパロディとしてのピロティでの「あいさつ運動」 7−4.「革命的」あいさつ運動の終わり メモ7:「休み時間」と「余暇」 第8章:本編の終わりに 第3部 学校現場におけるメディア環境を知るための補論 第9章【補論1】:学校の中の書籍とメディアミックスについて 9−1.学校の中に持ち込まれるモノをめぐって 9−2.学校読書調査の二次分析:メディアミックス系書籍が支持される実態 9−3.終わりに 第10章【補論2】:当時、渚中学校ではどんな本がどのようにして読まれていたのか 10−1.渚中学校の学校図書館 10−2.渚中学校における学級文庫について 10−3.渚中学校における朝の読書運動について 10−4.ケータイ小説読者について 第11章【補論3】:渚中学校における文化受容について 11−1.中学生のコンテンツ受容について:アンケート調査の結果から 11−2.中学生になる中での遊びの変化について:インタビュー調査の結 果から あとがき 参考文献 - 装丁 小林誠太(seee) 装画・挿画 もんくみこ 印刷 シナノ書籍印刷
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普及版 世界の紙を巡る旅
¥1,980
『普及版 世界の紙を巡る旅』浪江由唯、烽火書房 2024年11月発行、1800円(+税)、並製本176ページ、A6、特注大洲和紙カバー 一枚の紙を透かせば、人々の営みと手仕事の跡が浮かび上がる。土地の文化から生み出された手漉き紙の面白さと手仕事の尊さにほれ込み、勢いよく旅に出た1年間の記録 「世界には、どんな紙があるんだろう?」。小さな好奇心をきっかけに、303日間かけて15ヵ国の紙工房と印刷所を訪ね歩く。旅の中で出会ったのは、個性豊かな紙が作られる美しい光景と、淡々とあるいは楽しそうに、紙を作り紙に刷る人々の姿だった。世界の手漉き紙と文化の未来のために何ができるか、大好きな紙のそばで自分は将来何をしていくのか。世界の紙を巡りながら、知った紙のこと、気づいた文化のこと、自分が大事にしたいこと……。そんな思いを一冊の本として綴じました。 〈旅をした国〉 タイ、カナダ、アメリカ、メキシコ、リトアニア、ラトビア、エストニア、ドイツ・デンマーク、イギリス、インド、ネパール、ラオス、韓国 〈出会った紙〉 サーペーパー、アマテ、ヘンプペーパー、リサイクルフラワーペーパー、コットンペーパー、ロクタペーパー 2000冊が即完、2021年刊行の『世界の紙を巡る旅』が新たな仕様、手に取りやすいポケットサイズで 普及版として生まれ変わりました。 ポケットはカバンに入れて、散歩や旅にも連れ出せる文庫版として再登場!カバーは著者本人が現在関わりの深い大洲和紙を特注で制作。工程の一部を著者自身が担当したほか、一冊一冊のタイトルも本人によるハンコで仕上げています。
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beyond inn out
¥4,950
ゆらゆらと揺れながら、その境を越えようとする 大阪市此花区梅香のまちなみと、ひとつの建物を巡る記憶 建築写真を中心に空間、都市、人を撮影する写真家・大竹央祐による初の作品集。大阪市此花区のホテルThe blend innにて行われた大竹氏による個展「inn sight」(2020年)で展開されたThe blend inn内部を切り取った写真を軸に、ホテルを取り巻くまちなみの写真を加えて、再構築した作品集。 外側(まちなみ)と内側(ホテル)とを切り取ったそれぞれの作品が見開きで対比的に映し出され、建築とそれ以外、建築写真とそれ以外とが、その境を越えようとする。 [仕様] 著 大竹央祐 B5変形(185×247) コデックス装 144ページ(カラー128ページ・モノクロ16ページ) 烽火書房/hoka books
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ひとふでがき 365×10×1
¥1,870
A6 / 368ページ / PUR製本 昔から好きだった絵の勉強をちゃんとしてみようと、 大人になってから思い立った。 ずっと学びつづけている周囲とのレベル差に焦るなか、 通い 出した専門学校の先生に言われた 一言「 一日一枚絵を描き続けたらうまくなるよ」。 それから私は、 ひとふでがきを1 0年描き続けていた。 ひとふでがき作家、靴下ソムリエである、著者・minaco sakamotoが10年描き続けてきたひとふでがき作品を厳選して収録。何を考えて、何をモチーフに作品づくりを続けてきたのか、その道のりを辿ります。 著者・minaco sakamoto 鳥取生まれ。自然、動物好きで、出張や旅行先でその土地の動物園や水族館に行くのが楽しみ。 2011年から1日1枚「ひとふでがき」を描き続け10年目に入る。2017 年から国産のオリジナルデザインの靴下を製作。つま先や足裏など靴を履くと隠れるところのデザインにもこだわる。靴下ソムリエの資格取得(第18354号)。ブランドコンセプトは「アソビゴコロ」。
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中須俊治『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』烽火書房
¥1,650
中須俊治『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』烽火書房 「グローバル人材」の意味がわからず就職活動をやめて、アフリカ・トーゴのラジオ局に行ったことから、大きく動きだした人生。 トーゴで出会った友達との「みんなが笑って過ごせる世界をつくりたい」という約束を守るため、いったん就職後、独立起業。トーゴ布職人と京都の染色職人の技術をつなぎながら、見落とされてしまうたくさんの価値をつないで、新たな服づくりに挑戦する株式会社AFURIKA DOGS中須俊治の奮闘記。 ------------------------------------------------------------ 二○一二年三月、ぼくはシューカツをやめた。それは人生で初めて、周りからズレた瞬間だった。みんなにとっての正解が、ぼくにとっての正解とは限らない。それは当たり前のことではあったのだけれど、自分の気持ちに正直に生きることは思いのほか難しかったりする。しかしその決断から、ぼくの人生は大きく動き出した。 周りの多くの学生は大企業をめざして躍起になっていた。できるだけ時価総額の大きなところ、東証一部上場企業から内定を取ることがステイタスにさえなっているような雰囲気があった。日本の企業数は四○○万社以上あるのに、就職情報サイトに掲載することのできた数万社から選ぶということが、いろんな可能性を排除してしまっているような気もした。 もっといろんな生き方があっていいはずなのに、暗黙の了解みたいなもののなかで、人生が決められてしまうことにも違和感があった。とにもかくにも、周りからズレたことによって、自分のなかに、ある種の多様性をもつことができた。 シューカツをやめて、一年間の休学届を提出した。ただでさえ自由な大学生活をさらに延ばすことについての是非を、親には問われた。しかしながら、シューカツで多くの時間が費やされ、どんどん友だちが大学に来なくなり、いろんな話ができなくなった代償は大きかった。休学するからには、中途半端なことはできない。「誰も見たことのない景色を見に行こう」と、ぼくはアフリカ大陸をめざした。 (『Go to Togo』はじめに より) ------------------------------------------------------------ 烽火書房 / 2020年4月30日発刊 / 1500円+税

